Shimane Prefectural Hamada Business High School

【令和4年度2学期始業式】

8月29日(月)令和4年度2学期の始業式が行われました。

 始業式で校長先生は「大人になるには」と「努力を継続する大切さ」の2つのテーマでお話をされました。【詳しくは後半で】

 続いて、中国大会出場選手の伝達表彰・激励会・ビジネスマナー・身だしなみの指導と行われ、新たな学校生活が元気よく始まりました。9月2日から始まる学園祭の準備に大忙しでした。

校長先生のお話 2学期始業式 2022/08/29 

 朝晩の暑さが少し和らいで過ごしやすくなり、秋の気配を感じます。皆さん、夏休みはどのように過ごしましたか。有意義に過ごせましたか。今日は2つのテーマでお話ししたいと思います。

 今年の4月、成人年齢が引き下げられ、20歳から18歳に変わりました。大人の定義が変わったということです。そもそも、大人とは何なのでしょうか。君たちには、この問いに真剣に答えてほしいと思います。「大人になる」とは必ずしも年齢の問題ではありません。精神の成熟こそが大人になるということだと思うのです。「物事を主体的に考え、行動し、その行動に責任がとれる」ことだと思います。中でも、「物事を主体的に考える」というのがとても重要だと思うのです。頭の中でしっかりと思い巡らすのです。そこから始めないと、行動も軽率になりますし、そのような軽率な行動に責任をとることなどできないでしょう。日頃、私たちは物事をじっくり捉えようとしてはいません。チラ見して素通りしていることが多いのではないでしょうか。人生の悩みも世の中の出来事も、本当はもっとよく見て考えるべきなのです。そうでないと精神の成熟はありません。つまり、大人になるには、「物事を主体的に考え、頭の中でしっかりと思い巡らす」必要があるのです。君たちはこれまで、言われたことをきちんとやって、真面目にこつこつと点数を取るよう頑張ってきたかもしれません。しかし社会に出ると、「言われたことだけをやるな」「答えのないと問いに取り組め」「率先してやれ」と言われるようになります。そのためにも、今から「物事を主体的に考え、頭の中でしっかりと思い巡らす」クセをつけておくことが大切なのです。勉強や部活動に忙しい君たちにとって、「物事を主体的に考え、頭の中でしっかりと思い巡らす」ことは難しいと思うかもしれませんね。しかし、ちょっとした問いかけを自分自身にするだけでも充分なのです。「○○って何だろう?」と自分自身に問いかけて思い巡らすことから始めてください。これが1つめの話です。

 2つめは「努力を継続する大切さ」についてです。これから物語を読みますので頭の中でしっかりと思い巡らしてください。『ある男の人が寝ていると部屋の中に光が満ち溢れ、突然神様が現れました。神様はその男の人に重要な仕事を与えると言われました。それは家の前にある大きな岩を全力で押すというものでした。その日からその男の人は毎日その岩を押しました。何日も何日も、そして何年も。日が昇ってから日が暮れるまで、全く動かない冷たくて巨大な岩に肩を当てて、来る日も来る日も全力で押しました。毎晩夜になるとその男の人は疲れ切り、全く成果をあげられず、時間を無駄に過ごしたと考えるようになりました。その人に落胆する様子が見られ始めたので、悪魔がやってきて言いました。「お前さんがずっと押しているその岩は、全く動いていないじゃないか。どうせ動きやしないのに、なぜそんな無駄なことをするんだ?」と。悪魔はその人に、岩を押す意味はなく、やってきたことは失敗であったと言ったのです。しだいにその人も落胆と悲しみにより「なぜこんなことをしているのだろう」「最小限の努力だけすればもう充分だろう」と考え始めるようになりました。そしてある日、その男の人は神様に祈りを捧げて尋ねました。「神様、私はあなたが命じられたとおり、私の持てるすべてをもってこの岩を押してきましたが、この岩は1㎜も動いていません。何がいけないのでしょうか? なぜ私は失敗したのでしょうか?」 神様は祈りに応え愛情をもって言われました。「私が以前あなたに命じたとき、私はあなたに岩を全力で押すように命じ、あなたはそのとおりしてきました。岩を押すようにと言いましたが、岩を動かすようにとは一度も言ってはいません。あなたのすべきことはこの岩を押すことです。そして今、あなたは全力を尽くしたが失敗したと考えています。でも本当にそうでしょうか? 自分自身を見てみなさい。長い間岩を押していたため腕には筋肉がついて強くなり、両足は大きく逞しくなっています。困難によってあなたはとても成長し、以前では成し遂げられなかったこともできるようになっています。それでもあなたは岩を動かしてはいません。しかし、あなたは勤勉と忍耐力を獲得しました。あなたは勤勉に忍耐してそのようにしたので、私がその岩を動かしましょう。」こうして岩は動いたのです。』日本の諺に「人事を尽くして、天命を待つ」という言葉があります。信じて努力を継続すると必ず報いがあります。努力は人を裏切りません。あなたにとっての「岩」は何ですか? その「岩」はあなたを成長させてくれているのです。

 最後に、ある卒業生の話をします。今年3月に卒業した 板本 大輝(いたもと ひろき)さんのことです。彼は高校2年のときに「誰かのために映像を作る活動」を始め、日本で初めて高校生だけでライブコマースを成功させ、起業して配信事業を立ち上げました。その後、さらに起業について学ぶために東京の大学に進学しましたが、入学してすぐに高校時代の友人と新会社を立ち上げました。その会社の住所は、地元支援の思いを込めて故郷の浜田市にしています。彼は将来、故郷に戻って故郷のために活躍してくれると信じています。彼には「周りの人を幸せにする」という「志」があるからです。君たちにはこのような素晴らしい先輩がいるのです。「志」をもって「岩」を押し続ければ君たちにもできるはずです。

 2学期は大きな学校行事が控えています。間近にせまった学園祭や11月の浜商デパートです。3年生は就職試験や進学のための入試があり、1/2年生は部活動の新人戦などもありますね。この2学期、それらすべての活動で君たちが主体的に考えて思い巡らし、積極的に行動して、努力を継続する姿を見たいです。どうか頑張ってください。以上で終わります。